1. こども食堂とは?
こども食堂は、子どもが一人でも安心して利用できる、無料または低額の食堂です。単に食事を提供するだけでなく、地域住民との交流や学習支援の場、そして何よりも子どもたちにとっての温かい「居場所」としての役割を担っています。
その歴史は2012年、東京都大田区での活動から始まりました。以来、この取り組みは全国へと急速に広がり、今では地域社会に不可欠な存在となりつつあります。
運営主体の構成
円グラフの各色部分をタッチすると、割合が表示されます。(単位%)
運営は公的制度の裏付けがない民間活動が中心で、市民活動団体が4割以上を占めています。
2. 全国への急速な広がり
全国箇所数の推移 (2012-2024年)
2012年に始まったこども食堂は、わずか10年余りで全国1万箇所以上にまで急増しました。
年間延べ参加人数(推計)
子どもと大人の参加者数(利用者数) は年々増加しており、地域交流の拠点としての重要性が高まっています。
(2024年)
最新の調査では、箇所数は1万を超え、増加を続けています。
*全国個所数の数値は、把握できたものでのものです。
3. 小学生がひとりで小学校区外へ足を踏み入れるのは困難!
こども食堂の普及率は地域によって差があります。「充足率(校区実施率)」は、子どもたちが身近な小学校区内でこども食堂にアクセスできるかを示す重要な指標です。和歌山県のように、全小学校区での開設を支援する先進的な取り組みも見られます。
都道府県別 充足率(校区実施率)ランキング TOP 10
充足率が高い地域では、より多くの子どもたちが徒歩圏内でこども食堂を利用できる環境が整ってきています。
人口10万人当たりの箇所数ランキング TOP 10
人口比で見ると、特に地方圏でこども食堂が地域に密着した活動として根付いている様子がうかがえます。
4. 運営上の課題と未来への展望
資金不足
物価上昇が食料費や光熱費を圧迫し、運営の継続性を脅かしています。寄付や助成金に頼る不安定な財政基盤が大きな課題です。
人材不足
多くの食堂がボランティアによって支えられており、運営者の高齢化や担い手不足が深刻化しています。安定した運営には人材確保が不可欠です。
認知と理解
「こども食堂」という言葉の認知度は高いものの、その目的や誰でも利用できるという点が十分に理解されていない現実があります。
認知度と理解度のギャップ
認知率9割超に対し、内容を正しく理解している人は5割未満。こども食堂が本当に必要とする子どもや家庭に届くためには、正しい理解の促進が急務です。
未来へ向けて:「すべての子どもがアクセスできる社会」の実現
小学生にとって、安全に行動できる範囲は主に自分の小学校区内に限られます。こども食堂が真にセーフティネットとして機能するためには、すべての小学校区にその「居場所」がある状態を早期に実現することが重要です。地域、企業、行政が連携し、持続可能な運営を支える仕組みづくりが求められています。